リンパ系と運動

 人体はいくつかの圧力システムにより制御されているが、運動がこういったものに与える影響が知りたくて調べている。
 ①呼吸作用     ・・・横隔膜等の呼吸筋による肺のフイゴ運動。
 ②血液循環     ・・・心臓のポンプ作用。
 ③リンパ液の輸送 ・・・一方通行の弁と身体運動によるポンプ作用。リンパ管自体の自発的収縮もある。
 ④脳脊髄液の輸送 ・・・脳室の脈絡叢から静脈・リンパ系への流れ。
 ⑤筋肉や内臓による圧バランス

 まず、脳脊髄液については、あまり意識したことはないが、脳室の脈絡叢というところで作られているらしい。脳室は4つあり、左右の側脳室、第三脳室、第四脳室にそれぞれ脈絡叢が存在する。脳脊髄液の流路を調べて、下図のように描いてみた。上流から下流まで流れるのに、6時間程度かかるらしい。
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 脊髄は長いため、仙骨や尾骨まで脊髄液の輸送が行われるためには、主に腰部の方で脊髄液の回収作用が高くなっていると思われるのだが、自分はまだそこまで調べてはいない。
 脳脊髄液は、最終的には静脈やリンパ系に回収される。リンパ系も結局は静脈によって回収されることになる。
リンパ節と神経節とはいくつかの場所で位置的にも近接しており、互いの関係は深いらしい。東洋医学のツボとの関係も研究されているようだ。

 リンパ系としては、みぞおちの下の方に乳び(糜)槽というリンパの貯水槽のようなものがあり、腰部や腸からののリンパ本幹から集められているようだ。腸からの脂肪分が含まれているため、リンパは白くミルクのようになっているので、乳び槽というらしい。乳び槽からは胸管を経て、頸部や脇、鎖骨下のリンパとともに静脈の流れに入っている。

 リンパは、透明で血液より粘度が低いため、心臓のようなポンプがなくても、呼吸や筋肉の動きや姿勢の変化によって、輸送は行われる。上流から下流まで12時間程度かかるらしい。但し、長時間座ってじっとしていると、身体下方に停滞してむくみ状態となる。1時間毎に5~10分程度の運動は必要らしい。特にふくらはぎの運動が重要で、むくみ防止のための締め付け作用のあるソックスを穿いて行うと、リンパ輸送の効果が促進されるようだ。

 カムイ伝等の忍者マンガでは、脚絆の一種で、ふくらはぎから足首にかけて包帯のようなものでぐるぐると締め付けている様子が大抵描かれている。半手甲か半手筒というのか、前腕部から手首にかけても同様にしている。これはファッションアイテムではないだろうが、怪我防止の目的もあっただろう。かえって血行が悪くなるのではないか、と子供の頃には思っていた。長時間歩いたり、行軍するときには、少なくも江戸時代からそういうことをしていたらしい。陸軍でもゲートルと呼んで同様のものを使用していたようだ。

 通常はマッサージまでしなくとも、普通に身体を動かしていればいいのだろうが、特に手術でリンパ経路の一部を切除したりすると、マッサージも重要になってくるようだ。リンパ管には一方向性の弁があるため、流れる方向に向って擦っていく必要がある。部位によってマッサージの方向が決まっているので、図解されたものを見て、方向性を予め知っておく必要がある。男性よりも、女性の方が筋肉量が少なく、むくみやすいようなので、リンパ・マッサージへの関心が高いのだろう。

 なお、右上半身と、それ以外の右下半身と左半身では脇から鎖骨下と首から合流して静脈に至るまでのリンパ経路が分かれているようだが、マッサージの方向を何種類か調べたところでは、手技においてその影響は意識する必要はないようで、左右対称の動きを行えば良いようだ。

 血管内皮細胞と同様に、リンパ管内皮細胞でも流れ刺激により一酸化窒素(NO)の産生が促進され、血管の拡張・収縮に影響すると予想されて、調べられているらしい。

 準備体操や整理体操では、始めに全身を動かしてから、手首・足首の末端へと行っていく方が血液循環がスムースであり、合理的と考えることが多いと思う。一方で、運動不足の人や年齢の高い人には、急に心臓に負担をかけずに、身体の末端から徐々に身体をウォームアップしていく方が安全性が高いという考え方もあるようだ。

 リンパの輸送を促進するだけならば、運動強度は低くても、手足をぶらぶらさせたり、太極拳のようにゆっくり動いても良いだろうし、座り仕事が続いた後は足を高めにして横にしているだけでも良いと思われる。そう言えば、昼休みに足を机の上に投げ出して休むというのも、行儀は悪いが健康には良い面もあるかも知れない。

 リンパに関しては、下の「リンパの科学」に詳しい話がいろいろと述べられている。

リンパの科学 (ブルーバックス)
講談社
加藤 征治

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リンパマッサージというのは、リンパ管を意識してその節にある弁の流れる方向に沿って皮膚を軽く擦ることでリンパの循環を促すものだ。足のむくみ等に効果があるようだ。下記の本では、マッサージの摺擦方向をボディマップと写真でも解説している。

「経絡リンパマッサージ」からだリセットBOOK
高橋書店
渡辺 佳子

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 「リンパ呼吸」で不調は治る、という本は、「マッサージより効く」と大学の実験で判明!と但し書きにあるように、リンパマッサージの実際の効果を専門家が調べたものだ。その結果は、マッサージそのものには足のむくみをとるような部分的効果はあるものの、むしろ30分ほど仰臥姿勢をとることの方が全身のリンパ循環には重要ということが判明したという。マッサージをしてもイスに座った姿勢をとっていると循環は促進されにくいらしい。したがって自分自身でリンパ循環を高めるには、仰臥姿勢で30分ほど腹式呼吸を行うのが効果的としている。

「リンパ呼吸」で不調は治る (「マッサージより効く」と大学の実験で判明!)
マキノ出版
2015-09-15
大橋 俊夫

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 上書では仰臥姿勢がリンパ循環に良い理由として、リンパ液の大半が腹部と足に存在することと、リンパ液の貯蔵所である乳び槽が輸送路である胸管より下方にあるが、立位状態では重力的な理由で循環がされにくいことを指摘している。大きく腹式呼吸をすることで効果があるのなら、ふくらはぎの筋肉を動かしたり、西式健康法のように金魚運動や寝たまま手足を上げてぶるぶるさせる体操をすればより効果的だろう。後者はその見た目から最近ではゴキブリ体操というありがたくない名称で呼ばれているようだ。ヨガにおいて逆転のポーズや逆立ちがしばしば行われるのは、体験的に何らかの効果を知っているからだろう。但し、頭部で発生するアムリタという不老薬が胴体に流れるのを逆転させるためあるいは甲状腺・脳下垂体等に刺激を与えるためと言っていたりする場合もあり、理由や意味づけは異なるのかも知れない。水泳はうつ伏せか仰向きで全身運動をするので良いだろう。マット運動でゴロゴロ転がったりするのは大人になってからはなかなかやらないものだが、合気道の回転受身の動作はうってつけだと思う。。

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