鉄分のメリット・デメリット

 鉄分を継続的に過剰摂取すると、かえって肝硬変やガンになりやすくなるという話はしばしば聞く。 「宇宙生物学で読み解く人体の不思議」という本を読んでいたところ、そこにはさらに進んだ話がされていた。 人体の働きにおいては、元々鉄分がやや不足気味になるように維持されているという。 その理由は、人体と同様に病原菌にとっても鉄は不可欠であり、体内に余剰の鉄分があると活発に増殖しやすくなるからである。 女性においては、母体と胎児を菌から保護するために男性よりも貧血気味になりやすくなっているとも考えられる。
  
 自分は体内の新陳代謝における不完全燃焼のような状態を避けるために生体内の最適バランスをとった食生活が一番良いとは思っていた。 健康という状態からしても自分の生活に丁度良いバランス点を維持することであって、無理に健康を増進する必要もないのである。 しかし、栄養分をあえて不足気味の状態に維持することでリスクを避けて細く長く生きるといった方向性を生体が選んでいるとまでは考えていなかった。
  
 何となく元気や調子が出ないとすぐに足りない栄養を補給してやろうとか健康食品を試してみようとか考えがちである。 体の必要性を感じてというよりもむしろ心理的な不足感を満たすためなのかもしれない。 本書では宇宙生物学という広い観点から、栄養が過不足のある環境化で生体の健康にどのような影響があるかを考察しており、炭水化物抜きダイエット等の身近な話題に注意すべき点が説明されている。

宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議 (講談社現代新書)
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吉田 たかよし

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 「鉄理論=地球と生命の奇跡」では、鉄により地球温暖化を防止できるかもしれないというスケールの大きい話が説明されている。 各地の海洋の鉄分濃度を調べたところ、植物プランクトンの発生量と大きく関わっていることが予想された。 そこで海に人為的に鉄分を何度か散布したところ、植物プランクトンの発生量増加が認められた。 試算ではプランクトンタンカー隻分ほどの鉄分を撒くと、温暖化の原因となる二酸化炭素の何割かを植物プランクトンに大量に吸収させることができるほどだという。 その目論見の検証計画が世界的に進められているところである。 他にもいろいろな内容が盛り込まれているが、先の書と関係が深いので合わせて読むとより面白い。

鉄理論=地球と生命の奇跡
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 「金属なしでは生きられない―活性酸素をコントロールする」の中で老化と鉄についての話がある。ショウジョウバエやラットの臓器の鉄濃度は加齢と共に増加していくが、これを抑えるようにすると何割か寿命が延びるという。人間では男性の場合に加齢と共に鉄濃度が増加していくが、女性の場合閉経までは変わらずそれ以後に急激に増加するというという違いがあるが、高齢化とガンや心疾患等との関係も考えられるという。鉄だけではなく、カルシウムや銅・亜鉛等の濃度も加齢で同様に変わっているため、総合的な研究が必要なようだ。



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