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zoom RSS セーターの虫喰い

<<   作成日時 : 2017/03/20 18:41   >>

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 昨年のうちにセーター2着が虫に喰われていた。 1着はところどころだが割と規則的な位置に小さな穴が開いている。 穴位置の様子から虫の行動を推察できる。 網目に沿ってある距離だけ移動する。 そこで腹が減って齧り、場合によっては90度向きを変えてまた移動する、重なった場所に移るといった感じでなかなか行儀が良いようだ。 これなら何とか修繕できるかもしれない。 もう1着は絶句するほどボロボロの状態になっており、数センチ程度の大きな穴があちこちに開いている。 こちらの虫はかなり乱暴な大食漢だったのだろう。 小さい穴は数十個レベルで開いていて、舐めるように物凄い面積が喰い荒らされている。 色合いはなかなか良かったのだが、もう捨てるしかないといったところだ。 仮に修繕するとして空き時間を見つくろっても馴れない自分なら半月はかかるだろう。

 100円ショップで色糸を探したが、色の合うものはなかなかなさそうだ。 するとミシン用の透明ナイロン糸が目に付いた。 何色もの糸を使うよりは面倒がないのでこの糸1本でセーターの修繕を行ってみようと思った。 細くて透明で意図自体が目立たないという利点はあるものの、常識からすれば邪道なというより間違ったやり方だろう。 ナイロン糸はニット糸に対してあまりに細く硬い。 鎖が一番弱い所から壊れるのと同じで、編み物も部分的に強い所があってもあまり意味がない。 張力を広い範囲にうまく分散させないと、弾性がないから引き攣れるし、どこか一箇所に張力が集中しやすくなるのでむしろ弱くなるだろう。 ともかくそういった事から補修糸の選択としては明らかに不向きと思えるからだ。 しかし、どのみち自分は裁縫自体が小学校の家庭科実習では大の苦手だった記憶がある。 それ以来数えるほどしか、いやボタン付けもほとんどしていなかったので、室内用はともかく外出用に使える見込みは元から期待できない。 半分以上は実験のつもりである。 

 最初はテキストも見ずに試行錯誤だが、何箇所かの小さい穴を塞いでみる。 ニット製品の修繕は通常の縫い物に比べると網目が最初から存在しているので、それほどの位置精度の感覚を必要とせず、素人でも意外と直しやすいと思った。 面倒なのはナイロン糸の扱いだった。 非常に見えにくいので、作業のためにはかなりの光量が必要になる。 夜に蛍光スタンドの照明下で行うことは厳しく困難だったので、日中の窓際で行うようにした。 裏から表に糸を通し、穴の縁に生きている網目を掬って周辺を綴っていく。 一周かまたは間の目も拾って2周したものを絞って穴をなるべく狭く縮めるようにする。 それから糸を穴に通して、拾った網目を裏側に引き込むようにしながら閉じていく。 小さめの穴ならほとんど修繕箇所がわからないようにできるが、大きな穴の周囲ではやはり引きつれが目立ってしまうようだ。

 編み物の効用として精神安定の効果が非常に高いことがわかった。 むら気ではできない根気のいる作業だが、やった分だけは進んでいくので、かなり気分が落ち着いてくる。 また日頃見慣れた衣服の繊維や色合いの細部を観察することで本当に物を見ていなかったことに気付いてくる。 不眠がちだったり、気分が不安定な人は日向ぼっこを兼ねて余暇の使い方として試してみても良いかと思う。

 糸を止めるのに一般に使われるのは玉結びである。 指先で糸輪を捩る方法と針に何周か糸輪を巻き付けて引き抜く方法が使われる。 しかし、ナイロン糸は表面の摩擦力が非常に弱く、しかも弾性による復元力が非常に強い。 結び目も小さく、ニット地には当然のごとく玉が留まらないので、ナイロン糸のループを作って網目の集中した所に縛り付けて固定してやる必要がある。 普通ではむしろ遊びを持たせるような感じにしておいて、きつく留める事はしないと思う。 力を直接受け止めずに逃がすという考え方は正しいと思うが、自分はどうしても確実に固定する方向に拘ってしまう。 裁縫の玉結びと言うよりはむしろテグス結びの感覚である。 きつく縛ったつもりでも安易な結び方をしたものは数日後にいくつか解けてしまっていた。 外科手術で使う糸の結び方も調べてみたが、重要箇所では4回捩った箇所にノットを加えているようだ。 自分はテグス結びの改良版で4回捩った箇所の両端にノットが存在する結び方を使うことにした。 結びの強度は接触面積と締めつける張力によって決まるだろう。 4回絡ませた箇所がループで締め付けられれば、自己張力が並列で4倍分で働くことになるということか。 テグスでは直接1本の糸で力を受け止めることから最低で4回以上、5〜6回は巻きを重ねるようだ。 工学の考え方では安全係数というものがあって、通常に予想される力に対して強度を3倍以上で作っておけばまずは大丈夫というのがある。 確実な結び方ではあるが弾性があると結ぶのに多少手間がかかる。 あまりきつく締めても糸が細く伸びてかえって切れたり解けやすくなる。 いろいろな方向から引っ張られることを考慮して、縦横だけでなく斜め方向に力を散らすようにしないと、結び目の箇所で切れてしまうだろう。 生地の裏表や柄によって糸目の方向が異なるので、場所毎に縫い方を対応させなければならない。 ナイロン糸は表に出ても目立ちにくくはあるが、やはり光るので露出部分を1mm程度に抑えた方が良い。 セーターを着たり脱いだりする時に強く引っ張る部分の補修には以上のナイロン糸の補修方法はすぐに切れてしまうので向いていないが、それほど力がかからないような箇所であれば使うことができると思う。 穴の開いた靴下の補修もやってみたが、ナイロン同士は相性が良さそうで暫くはもつようだ。

そう言えば玉結びをするときに母親が時々何かつぶやいていることがあったのを思い出した。 〜でごめんなさいと言っているようだった。 何かのおまじないなのかと思って尋ねると、「旅の空だで御免なさい」と言っていたとの事だった。 針に糸を巻き付けて玉結びをするやり方はあくまでも簡略法であまり行儀の良い方法ではないので詫びておく必要がある、旅先なので無作法だが勘弁して欲しいという意味らしい。(家の中なので本当に旅に出ているわけではないけれども。) 一緒にいた祖母と叔母も真面目な顔で同意していたようだった。 針供養というものがあるように針を大切にしていた昔の世代にとっては、針に糸を巻きつける扱いは確かに無作法なのかもしれないが、子供相手だから無作法と説明したのだろうか。 おそらくは縊るとか間引く等の忌むべき事を連想させるからというのが本当ではないかと自分は邪推している。 こういう感覚は現代にはもう存在しないと思うのであえて付け加えておく。
 
 直し物の一般的な手法は一応知っておく必要がある。 テキストはあまりに数多いが、下記の2冊を読んでみた。最初の「手ぬいでできちゃう!服のお直し」は男性著者、「手ぬいでちょこっと洋服お直し」は女性著者によるものだが、どちらを読んでも内容的にはそれほどの違いは感じなかった。


手ぬいでできちゃう!服のお直し (Handmade Life Series)
新星出版社
高畠海

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手ぬいでちょこっと洋服お直し
産業編集センター

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